帰る場所がないはなし
どこにも行けなくなった。
遂に理由がなくなった。
東京にきたのは彼についてきたからで、
今の仕事に変えたのも彼との生活のためで
そうじゃないならなんにも必要ない。
息がずっと苦しいままだ。
知ってる街を追われるように出て、
知らない街にやってきたけれど、
新居のカーテンもベッドも必要だとは思えない。
どうして新しい家にひとりでいるんだろう。
住みたくない家の家財が必要な理由がわからない。
あの人はいま
あの人はいま
そんなことばかり考えてる。
不衛生なあの子と一緒にいるかもしれないのにね